犬のアレルギー
犬や猫にも人と同様にアレルギー症状があります。
アメリカでは全体の約20%の犬に何らかのアレルギーがあると言われております。
また、犬の皮膚症状のうち30%がアレルギーが原因と言われております。
アレルギー【 allergy 】とは・・・
様々な「 抗原 」が身体に付着、侵入、吸入、または摂取する事によって、生体の免疫機能が身体にとってマイナスな反応をおこし
過剰な免疫反応となり、呼吸困難、腫れ、じんましん、湿疹、かゆみなどの症状が現れる事をアレルギーと言います。
アレルギーにはⅠ~Ⅳ型の4種類があります。
一般的にアレルギーと呼ばれているものの多くはⅠ型アレルギーです。
Ⅰ型アレルギーの特徴は侵入から発症までがとても短く、即時型アレルギーと呼ばれ、通常は15分位で発症します。
アレルギーの原因である「 抗原 」を【 アレルゲン 】と言い、アレルゲンの種類はその個体によってあらゆるものが当てはまります。
アレルゲン【 Allergen 】とは・・・
草・雑草・樹木、花粉、カビ、細菌、動物の毛やフケ、ハウスダスト、ノミ、ダニ、食物などや環境要因など数多くあります。
様々な環境にアレルギーを引き起こす元であるアレルゲンが存在します。
アレルギー反応のメカニズム
体内、外に付着、侵入、吸入、または摂取したアレルゲンに対して、まず、見張り役であるランゲルハンス細胞が異物を捕らえ
その情報をヘルパーTリンパ球(TH細胞)に報告します。
報告された情報を元にヘルパーTリンパ球(Th細胞)は1型ヘルパーTリンパ球(Th1)と2型ヘルパーTリンパ球(Th2)のどちらかに姿を変えます。
Th1とTh2に姿を変えたTH細胞は、Bリンパ球に指令を出します。
Bリンパ球はTh1 Th2の指令に従い、異なる抗体を産生し始め、Th1 Th2から指令を受けたBリンパ球は、抗体を作る事の出来るプラズマ細胞に変化します。
体内、外に付着、侵入、吸入、摂取する異物によってBリンパ球が作る抗体は「 IgG 」「 IgM 」 「 IgA 」「 IgD 」「 IgE 」 と異なります。
「 IgG 」 「 IgM 」 抗体はアレルゲンが細菌の場合(皮膚の免疫反応)において産生されます。
ランゲルハンス細胞から情報を得たヘルパーTリンパ球(Th細胞)の多くは1型ヘルパーTリンパ球(Th1)となり、はじめは主に「 IgM 」 抗体を
作るようBリンパ球に指令を出します。
指令を受けたBリンパ球はプラズマ細胞に変化し、「 IgM 」 抗体を作り始めます。
作り出された「 IgM 」 抗体はいわばアレルゲンを攻撃するミサイルのようなものであり、アレルゲンにとりついて無害なものに中和します。
「 IgM 」 抗体がとりついたアレルゲン【抗原抗体複合体】は好中球やマクロファージなどの掃除屋細胞に食べられて除去されます。
その後もこの時の指令を記憶したBリンパ球の一部は体内に残されるので、次に同じアレルゲンが侵入したときでも迅速に対応し
たくさんの抗体を産生し速やかに異物を中和する事ができるようになります。
この2度目の侵入で作られるのは主に 「 IgG 」抗体であり、この抗体は細菌に対する攻撃性がより高いものになります。
「 IgA 」 抗体は粘膜の表面を保護し、消化管や肺、泌尿器などの粘膜性免疫を担い、鼻汁、唾液、消化管液、気道分泌液、生殖器分泌
においては、存在するIgの80%を占めています。
「 IgD 」 抗体はBリンパ球の成熟・活性に影響します。
「 IgE 」 抗体はアレルゲンがハウスダストマイト、花粉、食物蛋白質の場合(皮膚の免疫反応)において産生されます。
抗体の産生方法は上記記載と同様であり、異なるのは「 IgE 」抗体とは、本来、身体の内、外に寄生した寄生虫を攻撃する場合に
産生される特別な抗体であり、それ以外にあまり産生される事はありません。
アレルギー反応は「 IgE 」 抗体が関係しています。
こうした様々な免疫反応が正常に機能すればアレルギーはおこりません。
しかし、アレルギー反応のメカニズムは、こうした免疫機能のバランスが崩れることによっておこります。
色々なアレルゲンに対して、これらを除去するために様々な細胞が連絡し合い、免疫反応を営んできました。
ヘルパーTリンパ球には、1型ヘルパーTリンパ球(Th1)と2型ヘルパーTリンパ球(Th2)の2種類がありますが、Bリンパ球の抗体作りを
助けるのが「 Th2 」で、抗体の作りすぎを抑えるのを助けるのが「 Th1 」です。
本来は,この2つの働きはバランスよく行われるはずなのですが、アレルゲンが入ってきたことで過剰な免疫反応をおこしてしまうと
「 Th2 」の働きがやたらと強くなり、「 Th1 」の働きがやたらと弱くなってしまい、「 Th1 」と「 Th2 」のバランスが悪くなってしまいます。
アレルギー疾患はこの「 IgE 」抗体が大量に産生されるためにアレルギーをおこすのです。
つまり「 Th2 」の指令を受けたBリンパ球はプラズマ細胞に変化し「 IgE 」抗体を産生します。
作り出された「 IgE 」抗体は真皮に潜んでいるマスト細胞の表面にたくさん付着します。
マスト細胞は細胞内に炎症反応をおこす顆粒物質「ヒスタミン・セロトニン」を大量に含んでいる爆弾細胞です。
「 IgE 」抗体はその爆弾のスイッチです。
たくさんの「 IgE 」抗体を付着させたマスト細胞は真皮中に潜んでいます。
そして再び、ハウスダストマイトが侵入して、マスト細胞に付着した「 IgE 」抗体と結合すると、抗原抗体反応がおきスイッチが押され爆発します。
爆発したマスト細胞は顆粒物質「ヒスタミン・セロトニン」を放出し、放出された化学物質の作用によって、血管が膨張し、血管から体液や
炎症細胞がしみ出て、強い炎症反応を生じます。
その結果、見た目は紅くなり、しみ出た体液によって腫れた状態になります。
また、この顆粒物質「ヒスタミン・セロトニン」が皮膚の末梢神経線維に触れると、強い痒みが生じると考えられています。
動物の様々なアレルギーの症状・・・
人と動物のアレルギーは同じですが、引き起こされる症状は異なります。
人の場合、典型的な症状は鼻や呼吸器に表れますが、犬は強烈なかゆみを伴う皮膚症状が一般的です。
犬が痒がっていれば、何らかのアレルギー疾患であると思っていた方がいいでしょう。
しかし、アレルギー疾患=食物アレルギーと、だれもが思い浮かべる事でしょうが、実は数あるアレルギー疾患の中でも
食物アレルギーである可能性は最も少なく、アレルギーを持っている犬の全体の15%ほどしか食物アレルギーである犬はおりません。
食物アレルギー
食物アレルギーにはⅠ型(即時型)のみでなく、Ⅳ型(遅延型)も関与しており、食物アレルギーを持っている犬は食物蛋白質に大変敏感であり
穀物タンパク質(小麦、大豆、トウモロコシ)小麦グルテンは度々、痒みを引き起こします。
こうした、食物アレルギーをもっている犬は食事を換える必要があるでしょう。
まずは、療法食と水のみで一ヶ月間試し、痒みが無くなれば食物アレルギーの可能性が高いです。
食物アレルギーと分かれば、今度は何の食物に対してアレルギーを起こしているのかを調べる必要があります。
【1~2週間目】 牛肉 【3~4週間目】 チーズ 【5~6週間目】 卵 【7~8週間目】 豚肉 この様に順番に与えて行けばアレルギーを
起こしている食物を調べることができます。
アレルギー性皮膚炎
さまざまな物質をアレルゲンと認識しやすい体質を持ち、アレルゲンが複数で特定できない場合が多く、一つのアレルゲンを除去したとしても
他の物質をアレルゲンとして認識する可能性があり、とても複雑なアレルギー疾患です。
アトピー性皮膚炎の発症には、大きく3つの要素が関係していると言われております。
①・・・遺伝的な異常による免疫の問題
この遺伝的異常によって、Th1細胞よりもTh2細胞の働きが強くなり、正常ではあまり作られる事のない「 IgE 」抗体がたくさん作られる為に
発症すると考えられており、実際にアレルギー性皮膚炎の患者の血液中には正常よりもずっと多くの「 IgE 」抗体が検出されております。
②・・・表皮の異常によるバリア機能の問題
特に外側の角質層がうまく作られないことから、乾燥皮膚(ドライスキン)や脂漏(脂っぽい皮膚)となり、皮膚のバリア機能が正常に働かない
為、ハウスダストマイトなどに対して過敏に反応しやすくなっていると言われております。
③・・・環境の問題
気温、湿度、乾燥、排気ガス、飼い主との関係など、さまざまな環境要因が症状の悪化に関係している可能性があると言われております。
さまざまなアレルギー性皮膚炎
アトピー性皮膚炎・・・免疫組織過敏性、ほこりやカビなどさまざまな物質が原因であり、生後2歳までに発症するのが一般的であり
耳があつい、紅い、後ろ足を噛む、なめるなどの行動がある場合はアトピー性皮膚炎の可能性があります。
ノミアレルギー性皮膚炎・・・背部、尾の付け根に病変が出ます。
イヌヒセンダニ(疥癬虫)・・・一番かゆみをもたらします。
蚊のアレルギー・・・6月、7月、8月など蚊の季節に、耳に紅いブツブツがあれば、蚊に対してアレルギーを起こしている可能性があります。
マラセチア皮膚炎・・・マラセチア酵母菌が原因で耳の垢や脂などを好みます。
虫さされアレルギー・・・ある先に多く突発します。
その他にも
花粉症
薬疹
アレルギー性結膜炎
アレルギー性気管支炎
アレルギー性腸炎
など、さまざまなアレルギー疾患があります。
アレルギーが現れる時期
アレルギーが現れる時期は、それぞれのアレルゲンによって異なります。
花粉の場合、春や夏により多く見られ、ハウスダストマイト、ダニ、カビの場合や、食物に関するアレルギーの場合などは、一年中みられます。
また、他の動物に対するアレルギーを持っている可能性もあります。
例えば、猫に対する犬のアレルギーです。
毛の長い雄猫はより多くのアレルゲンを出します。
このアレルゲンは花粉やほこりの粒子よりも10倍も小さく「 FeID1 」と呼ばれており、この蛋白質は猫の唾液や少ないが肛門嚢にもあります。
猫が舐めると唾液が付き、乾き、それが剥がれ落ち、飛んで行き、アレルゲンとなります。
猫のアレルゲンは軽く、粘着が強く、壁や家具、カーペット、カーテン、衣服にくっつき、とても力強いアレルゲンで永続的に存在しており
少なくとも家の環境に10年は活動的でいます。
そして人も猫同様にフケなどのアレルゲンをだします。
ある研究者が実験を行った結果、犬の血液の40%が人のアレルゲンにアレルギー反応を示しました。
また、魚、卵、乳しょう、牛乳、鶏肉、豚肉、牛肉、トウモロコシ、小麦、大豆、防腐剤、人工糖などの食物には犬は耐性がない為
これら食物がアレルゲンになる可能性が高いです。
また、一般的に皮膚にいるブドウ球菌に対して、アレルギー反応をおこす場合もあります。
参考文献
日本ペット栄養学会教本
アニマルナース MICHIKO,JENNIFER,PARTRIDGE ( ミチコ ジェニファー パートリッジ )