犬の性周期
犬は単発情性動物で、発情周期を繰り返すことなく、発情の終了後は妊娠、不妊のいずれの場合でも長い間の無発情期が経過します。
犬の発情のあらわれる時期は季節と関係して春(3~5月)と秋(9~11月)にそれぞれ1回発情する説と
季節の関係なく5~8ヵ月の間隔で発情するというものがあります。
犬の発情は主に季節に関係なく一年の各時期に発情するということが一般的です。
いずれにしても犬の種類や環境、飼育状況によって異なり、個体によっても大きな差があります。
一般に小型犬は4ヵ月、大型犬は8ヵ月くらいの間隔で発情します。
またこの間隔は若齢の犬は短く、老犬は長い。
発情は雌犬の動作、態度、雄犬に対する反応および外陰部などにあらわれる変化によって発見されますが、これは個体によって顕著
なものと、そうでないものとがあります。
また雄犬に対する反応もその相手の雄犬によって著しく態度の異なるものがあります。
犬の性周期の区分は従来から次のようにされています。
発情前期
外陰部の腫脹、出血粘液の漏出があります。
この時期はまだ雄犬を許容するには至りません。
卵巣には中程度の大きさの卵胞が存在し、ときには前回の排卵によって生じた黄体の痕跡を残すものもあります。
子宮の筋層は増殖し、子宮腺も増大する。
この時期の犬は興奮しやすく、命令に従わず、飲水を多くとり、しばしば排尿します。
この尿によって雄犬は誘引されます。 ( 尿中の因子についてはまだ解明されてません )
この状態が5~14日、平均約8日間持続します。
発情期
雄犬を許容し、交尾する時期です。
雄を拒否する場合は、発情期は終了したことになります。
発情期の卵巣では、発育卵胞は成熟して、第3~4日( 雄犬を許容してから48~60時間 )ごろに数個~十数個がほぼ同時に破れて
排卵します。
子宮外口は弛緩し、膣上皮にも明らかな変化がみられ、には角化細胞、赤血球が多数存在します。
外陰部の種脹は軟弱となって血球粘液の漏出はつづきますが、その量は僅少となります。
この期は雄犬を迎え、尾を背上に高く挙げるか尾を水平に側方にまげて交尾を許容します。
発情期は通常5~20日平均約11日間持続します。
したがって犬にあっては排卵後においてもなお数日間、雄を許容し、交尾することになります。
発情後期
雄犬を拒否してから( 発情の終わった日から約60日(犬の妊娠期間に相当します。)または80日とされています。
卵巣の個々の卵胞の破裂した後には黄体が形成され、約20日間持続した後、徐々に退行に向かいます。
子宮には受精卵着床のための内膜の増殖が起こります。
子宮外口は閉鎖し、膣垢には多数の白血球が認められます。
外陰部の腫脹は徐々に減退して排卵後7~8日で消失します。
無発情期
発情閉止60日後から、次の発情前期に至るまでの期間で4~8ヵ月とされています。
この時期は卵巣は休止状態で卵胞の発育もなく、また活動的な黄体も存在しません。
発情の発現間隔はこの無発情期の長さによって決定され、小型犬は短く、大型犬は長い。
偽妊娠
発情後期において、受胎していないのに妊娠犬と類似した状態、すなわち妊娠微候を示すことがあります。
子宮、乳房の肥大、まれに営巣行動を示すこともあり、偽妊娠の末期には泌乳、膣分泌液の漏出することもあります。
犬の偽妊娠はしばしばおこることがありますが、実際には極めて稀にしかおこらないものであります。
参考文献
家畜臨床繁殖学
アニマルブリーダー 渡邉 浩行 アニマルナース MICHIKO,JENNIFER,PARTRIDGE ( ミチコ ジェニファー パートリッジ )